舌下免疫療法とは
治療には長期間を要しますが、症状の軽減や根本的な体質の改善が期待できます。
過去に行われていた、注射でアレルゲン体内に吸収させる治療(皮下免疫療法)と比べ、舌下免疫療法は痛みやリスクが少なく、通院回数も減らせるため、現在ではこちらが行われています。
スギ花粉による花粉症とダニのアレルギーに対しての治療であれば、保険適用されており、5歳以上であれば子どもでも治療が可能です。
当院では、お子さんと合わせ、ご家族の方の舌下免疫療法も行っています。
興味がありましたら、遠慮なくご相談ください。
舌下免疫療法の開始時期
スギ花粉症については、花粉が飛散する季節には開始できないため、飛散のない5~10月の間に治療を開始する必要があります。
また、ダニのアレルギー性鼻炎については、一年を通じていつでも開始できますが、スギ花粉症もあわせて持っている場合は飛散の季節以外に開始するのが良いでしょう。
舌下免疫療法の治療期間
舌下免疫療法は長期間治療を行う必要があり、治療期間は毎日服用する必要があります。
人によっては効果がないため、まずは1〜2年程度治療を続け、効果が認められた場合には、合計で3〜5年間ほどの治療を行うことを推奨しています。
ただし、短期間で治療を終了した場合、治療が終了した後に効果が続かないと言われています。
舌下免疫療法に
注意が必要な方
- 気管支喘息がある方
- 肺疾患のある方
- アレルゲンを用いた治療や検査でアレルギー反応が出る方
- 口の中に傷や炎症のある方
- 抜歯など歯科治療中の方
- 重度の心疾患のある方
- 65歳以上の方
- 全身性ステロイド薬を服用中の方
- 高血圧症と診断されている方
- 三環系うつ薬や非選択的β遮断薬などを服用中の方
- 妊娠している方
- 授乳中の方
舌下免疫療法の副作用
ダニアレルギーの場合、スギ花粉症よりも舌下免疫療法での副反応が起こりやすいと言われています。
アレルギー性鼻炎とあわせて気管支喘息を持っている方の場合、舌下免疫療法を行うことで気管支喘息の症状が一時的に悪化する場合があります。
そのため、適切に気管支喘息の治療が行われており、症状の対策が行われていないと、舌下免疫療法を開始できません。
舌下免疫療法中に気管支喘息が悪化した場合は、一時的な舌下免疫療法の中断も検討します。
副反応には、以下のような症状があります。
- 口の中のアレルギー反応(腫れ、口内炎など)
- のどのかゆみ
- 鼻炎の症状(くしゃみ、鼻水など)
- 消化器の症状(腹痛、吐き気など)
- 呼吸器の症状(呼吸困難、喘息など
- アナフィラキシーショック(血圧低下、意識障害など)
口中の違和感や鼻炎症状がでた時には、普段の治療で使用しているお薬の併用は可能です。
ただし、副腎皮質ステロイドの内服薬は免疫療法の効果に影響があるため、常用している場合は、治療を行うことができません。点眼薬、点鼻薬、吸入薬、塗り薬タイプのステロイド薬は使用が可能です。
舌下免疫療法治療中に使えるお薬について、ご不安な点がありましたら、遠慮なくご相談ください。
治療の流れ
シダキュアを用いたスギ花粉症の治療の流れをご紹介します。
なお、多くの場合、ダニアレルギーでも流れは同様になります。
舌下免疫療法をお考えの方は、下記を参考にご検討ください。
1診察
舌下免疫療法を希望される場合は、お薬の投与を開始する次回の診療日を決定します。
2舌下免疫療法の開始
初回は院内で投与を行い、30分程度、様子を確認する時間を作ります。
初回の投与は受付、手続き、投与、経過観察、お会計までを含め、1時間半程度の時間がかかります。
3増量期
1日に1回、舌の下にアレルゲンの含まれる治療薬を入れ、2分程したら呑み込みます。
投与から5分間は、うがいや飲食ができません。
開始から最初の14日間を増量期と言い、最初の1週間は少量のアレルゲンから始め、2週間目からはアレルゲンの量を増やして投与していきます。
4維持期
3週間目からは、アレルゲンの量は変えず、毎日の投与を続けます。
投与の方法は最初と変わりません。舌の下に治療薬を入れて1~2分して呑み込み、5分間はうがいや飲食ができません。
よくある質問
何歳から舌下免疫療法が行えますか?
5歳以上であれば治療が行えます。
治療が受けられないことはありますか?
妊娠していたり、近く妊娠を希望されている方、症状の重い喘息や心臓疾患がある方は、治療を受けることができません。
また、血圧が高くβ遮断薬(βブロッカー)というお薬を使用している方は、治療の内容を調整する必要があります。
妊活中や妊娠中でも治療は行えますか?
妊活中や妊娠中の方は、治療を新たに開始できません。
なお、舌下免疫療法を既に受けている状況で、2週間の増量期を経て維持期の状態である場合、妊娠は問題ありません。
ダニアレルギーとスギ花粉症がどちらもある場合、同時に治療できますか?
通常、スギ花粉の舌下免疫療法を先に開始し、1ヶ月程度経った後に、ダニアレルギーの舌下免疫療法を開始します。
同時の治療をお考えの場合は、遠慮なくご相談ください。
ダニアレルギーや花粉症は舌下免疫療法で必ず治りますか?
花粉症では約80%の方は症状が改善すると言われいます。その内、花粉症が治癒する方が約30%、症状が大きく改善しお薬の量が減る方が約30%、症状が改善見られた方が約20%、残りの20%は効果が見られなかったと報告されています。
花粉が飛散する時期に、花粉症の治療を開始できますか?
花粉症の舌下免疫療法は、花粉が飛散する時期には開始できません。
花粉の飛散が治まる5〜10月の間に治療を開始します。
なお、舌下免疫療法を既に行っている状態で花粉が飛散する時期に入った場合は、そのまま治療を継続できます。
どのくらいの頻度で通院が必要になりますか?
4週に1回、通院して頂きます。
舌下免疫療法中、他のお薬は飲めますか?
舌下免疫療法の継続中も、アレルギー症状に対するお薬は内服できます。
ただし、ステロイド薬の内服はできません。
ステロイドの点眼薬や点鼻薬であれば作用は局所のみのため、舌下免疫療法の継続中もご使用頂けます。
舌下免疫療法はすぐに効果が感じられますか?
舌下免疫療法はすぐには効果が現れないため、長期間継続する必要があります。
体質を根本的に改善する治療であるため、時間に伴い効果が徐々に現れてきます。
また、人によっては効果がない場合もあることを認識し、治療を始めましょう。
どのくらいの期間、舌下免疫療法を続ける必要がありますか?
最低でも3年間、治療を続けることが望ましいです。
治療を続けるほど効果が高まります。ある程度の効果が現れた後も引き続き治療を継続することで症状を抑え、生活の質を引き上げることができます。
舌下免疫療法は一生続ける必要がありますか?
舌下免疫療法は3~5年間継続することで、治療を止めた後も長期間効果が続くと言われていますが、個人差があるため効果がない場合もあります。
まずは、2年程度の治療で効果の有無を確認し、効果が現れた場合は、さらに2~3年間治療を継続することを推奨しています。
なお、治療期間の長さに応じて効果も高くなっていくと言われています。
治療を終えてから数年後にアレルギー症状が再発することもありますが、再度1~2年の舌下免疫療法を行うことで、再び同様の効果が得られるとされています。
乳児医療証がある場合は
その範囲内での料金です。
ご家族の方も同時に
治療する場合
3割負担の場合、スギ花粉症で月に約○○円、ダニアレルギーで月に約○○円程度です。
また、診察料はお薬代とは別です。予めご了承ください。